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虫歯治療を受けるにあたっては、通常の浸潤麻酔の前に、表面麻酔というジェルやスプレータイプの麻酔が施されることが多いです。
こちらは、麻酔針を刺すときの痛みを軽減してくれるという大きなメリットがありますが、実は他にも以下のような意外なメリットを持っています。
多くの人が抱く歯科クリニックへの恐怖心は、過去の痛い注射の記憶が原因です。
表面麻酔は、その最初の関門である針が刺さる痛みを完全にブロックします。
この最初の痛みがなくなるだけで、脳は「ここは痛くない場所だ」と認識を改め、長年染みついたトラウマや恐怖心を和らげることができます。
特に子どもの頃にこの痛みのない経験を積むことは、生涯にわたる歯科恐怖症の予防において極めて重要です。
診療台に座るだけで動悸がするような強い緊張を、最初の段階からリセットしてくれる心理的恩恵は、単に痛みを消す以上の大きな価値を持っています。
歯科治療中の緊張や恐怖、そしてチクッとした痛みは、自律神経の交感神経を過剰に刺激します。
これにより、アドレナリンが大量に分泌されて血圧が急上昇したり、心拍数が跳ね上がったりする危険があります。
高血圧や心臓疾患などの持病を持つ患者さんにとって、この一瞬のショックは脳貧血や心不全を引き起こす引き金になりかねません。
表面麻酔を事前に行うことで、痛みのシグナルが脳に伝わるのを防ぎ、心身をリラックスした状態に保つことができます。
結果としてバイタルサインが安定し、持病の悪化や治療中の偶発症リスクを最小限に抑えるという、全身の安全管理における重要な役割を果たしています。
器具が口に入るだけでオエッとえづいてしまう嘔吐反射は、多くの患者さんの悩みです。
これは口の奥の粘膜が刺激されることで起こる防衛反応ですが、表面麻酔にはこの過敏な粘膜の感覚を一時的に麻痺させる効果があります。
注射の痛み対策として歯茎に塗った麻酔成分が、唾液とともに周囲の粘膜へわずかに広がることで、型取りのトレーやバキュームなどが触れたときの不快感を劇的に和らげます。
これにより、嘔吐反射が強くて治療自体を諦めていた方でも、喉の奥の緊張が解け、リラックスして口を開け続けられるようになります。
これから虫歯治療を受けようと考えている方は、浸潤麻酔を打つ前に表面麻酔を使用するかどうか、必ず歯科クリニックに確認しましょう。
近年は表面麻酔を使用するところがほとんどですが、使用しないところもゼロではありません。
また表面麻酔をしても治療中の恐怖心が拭えないという場合、静脈内鎮静法や笑気麻酔などの使用も検討しましょう。