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虫歯治療中は、単に患部をドリルで削るだけでなく、口内の水分や削りカスなどを吸い込むためにバキュームという器具が使用されます。
では、虫歯治療中にバキュームによる吸い取りを行わなかった場合、治療にはどのような影響が出るのでしょうか?
今回は、主なデメリットについて解説します。
歯科医師がミリ単位で行う虫歯治療は、非常に細かな暗い口の中を正確に見極める必要があります。
しかし口の中が水や唾液、削りカスで溢れてしまうと、治療すべき正確な部位が全く見えなくなります。
また視界が遮られた状態で手探りの治療を行うと、肉眼やマイクロスコープでの確認ができず、除去すべき虫歯の取り残しが発生しやすくなります。
それだけでなく、本来であれば削る必要のない健康な歯の組織まで余計に傷つけてしまうなど、治療の精度が著しく低下します。
バキュームは、歯科医師の視界を常にクリアに保ち、削る量を最小限に抑えながら精密で安全な治療を確実に進めていくために、絶対に欠かせない役割を持っています。
虫歯が進行して歯を深く削る治療を行う場合、器具の先端は歯の神経や血管が集中している歯髄と呼ばれる組織のすぐ近くまで到達します。
バキュームを使用せず、大量の虫歯菌を含んだ削りカスや汚水がお口の中に溜まったままの状態だと、露出した微細な血管の断面から細菌が侵入するリスクが格段に高まります。
血管内に入り込んだ細菌が血液の流れに乗って全身を巡ると、心臓の弁や内膜に感染して炎症を起こす感染性心内膜炎など、重篤な全身疾患を引き起こす引き金になりかねません。
口の中の局所的な問題にとどまらず、全身の健康と安全を守るためにも、汚染物質の迅速な吸引は極めて重要です。
歯科治療の現場では、高速回転する器具と冷却水がぶつかり合うことで、目に見える大きな水しぶきだけでなく、空気中に浮遊する目に見えない微細な霧状の水分が発生します。
これらの中には、患者さんの唾液や血液、虫歯菌をはじめとする多種多様な細菌が濃縮されて混ざり合っています。
バキュームを使って発生源である口のすぐそばで直接吸引しないと、これら汚染された微粒子が診療室全体へ瞬時に飛散してしまいます。
その結果、次に治療を待っている他の患者さんや、最前線で働く医療スタッフへの重い院内感染リスクが爆発的に高まってしまうという結果を招きます。
虫歯治療で使用するバキュームには、患者さんの安全を守り、なおかつ問題なくスムーズに虫歯治療を進めるための役割があります。
またバキュームを使用することにより、虫歯治療を受けている患者さん以外への悪影響も防ぐことが可能です。
歯科医師がバキュームを使用しないということはありませんが、これだけ重要な役割があることについては、知っておいて損はないでしょう。