歯ぎしりは主に就寝中に発生するもので、上下の歯を無意識にこすり合わせる行為です。

こちらは放置すると歯が擦り減ったり、歯にくさび状の凹みが現れたりするほか、歯周病の発症や悪化にもつながることがあります。

今回は、歯周病と歯ぎしりの関係性を中心に解説します。

 

歯ぎしりは歯周病の発症や悪化につながる

 

歯ぎしりは無意識に行われることが多く、気付いたら長期間行っていたというケースもよく見られます。

こちらは歯だけでなく、歯を支える歯茎などの歯周組織にまで影響を与えます。

たとえ健康な歯茎であっても、歯ぎしりの力は非常に重いため、歯茎に負担がかかれば歯周病へと進行させてしまう可能性があります。

またすでに歯周病にかかっている方は、歯茎や顎の骨に過剰な負担がかかることにより、炎症反応が強まって症状が悪化することが考えられます。

歯周病は成人のおよそ8割の方が罹患していると言われているため、このような歯ぎしりとの関係性を見過ごすことはできません。

 

歯ぎしりと歯周病に関するデータ

 

歯ぎしりが直接的に歯周病の発症や進行に影響を及ぼすということは、まだ科学的には証明されていません。

しかし、厚生労働省主導の8020運動(80歳まで20本の歯を残す運動)に関する調査では、興味深い結果が出ています。

こちらの調査では、80歳の時点で20本歯が残っていた方と、残っていなかった方を比較しています。

残っていた方のおよそ8割は噛み合わせに問題がなく、受け口や開口などは誰一人見られませんでした。

この調査結果から、一部の歯に強い力がかかる状況が10年20年と続いたとき、それが原因で歯周病が進行したり、歯が抜けたりするのではないかと考えられています。

 

歯ぎしりの対処法

 

歯ぎしりの対処法としては、マウスピースの装着やストレス解消、噛み合わせの調整などが挙げられます。

マウスピースは歯ぎしりの衝撃を緩和し、歯や顎、歯茎などにかかる負担を軽減する効果があります。

また歯ぎしりの主な原因はストレスであるため、適度な運動やストレッチ、音楽鑑賞などで解消できれば、歯ぎしりもなくなることが考えられます。

さらに噛み合わせを調整することでも、上下の歯が擦り合いにくくなり、歯ぎしりの負担は軽減されます。

 

まとめ

 

歯ぎしりで歯にかかる負担は、数百kg以上にも上ると言われています。

そのため、歯だけでなく顎の骨や歯茎などにまで負担がかかることは、決して不自然なことではありません。

また歯ぎしりが原因になっている場合、まずはそれに対処しなければ、いつまで経っても歯周病の症状は出たままです。

歯科クリニックの定期検診に通えば、無意識のうちに行っている歯ぎしりも早期発見できるかもしれません。