インプラントは、天然歯のように安定感のある補綴物であり、治療後はまるで失った歯がよみがえったような感覚を得ることができます。
しかし、インプラントはあくまで人工物であり、装着した後に受けてもその部分には効果がない治療というものが存在します。
今回はこちらの点を中心に解説します。

矯正治療

インプラントに対して効果を発揮しない治療としては、まず矯正治療が挙げられます。

矯正治療は、歯根膜という組織がクッションのような役割を果たすことにより、力を加えることで歯を移動させられるという仕組みです。

しかし、インプラントは顎の骨に固定されている上に、歯根膜が存在しません。
そのため、矯正装置をつけても移動させることは不可能です。

もし歯並びを改善したいのであれば、先に矯正治療を行い、その後にインプラントを埋入することをおすすめします。

ホワイトニング

ホワイトニングも、インプラントに対して効果を発揮しない治療の一つです。

ホワイトニングでは、過酸化水素、過酸化尿素などの薬剤を天然歯に作用させ、色素を分解して歯を白くします。
しかし、こちらはあくまで天然歯の有機質に反応して起こる漂白効果です。
インプラントは人工物であるため、これらの効果は発揮されません。

またインプラント治療後にホワイトニングを行った場合、インプラントの色はそのままになるため、白くした天然歯と色が異なってしまうことが考えられます。
こうなると、せっかく歯を白くしたにもかかわらず、審美性が半減してしまいます。

そのため、矯正治療と同じく、ホワイトニングもインプラント治療より先に受けておくべきです。

インプラント治療自体が適さないケース

そもそもインプラント治療自体が適さないケースには、全身疾患があるケースや骨量が足りないケースなどが挙げられます。

インプラント治療を受けるためには、全身の健康状態が良好であることが求められます。
そのため、心臓病や脳血管疾患などを持つ方は、治療のリスクが極めて高いです。

またインプラントは顎の骨に直接埋め込まれるため、骨密度が低かったり、必要な骨が不足していたりする場合、インプラントの安定性を確保できません。

まとめ

インプラント治療と他の治療をいずれも受けようと考える場合は、順番に注意しなければいけません。
特に矯正治療とホワイトニングについては、先にインプラント治療から始めてしまうと、効果を得られなくなる可能性があります。
またインプラント治療自体受けるのが難しい方は、先に疾患を治療したり、骨量を増やす治療を受けたりする必要があります。