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子どもの中には、先天性の疾患を患っている子もいます。
また、中には骨や歯などに影響を与える疾患もあり、その中の一つに“低ホスファターゼ症”が挙げられます。
今回は、子どもに見られる低ホスファターゼ症の概要や歯に与える影響、主な治療法などについて解説します。
低ホスファターゼ症は、生まれつき骨の石灰化が不十分であることが特徴の疾患です。
主に骨の再石灰化に必要な酵素である、組織非特異型アルカリホスファターゼという成分の欠損が原因で発症します。
重症度はさまざまで、発症する時期や症状から6つの臨床病型に分類されます。
子どもに見られる低ホスファターゼ症は、主に小児型に該当します。
また日本人はこちらの疾患の重症度が高く、発症頻度は15万人に1と言われています。
その他の頻度は不明で、未診断の方もいる可能性があります。
低ホスファターゼ症の中でも、小児型や骨に病変が限局する歯限局型は、歯に異常を与えるという特徴を持っています。
通常、乳歯は生後6~8ヶ月頃に生え始め、3歳までには20本の歯が生え揃います。
その後、6歳以降から永久歯が生え始め、およそ12歳頃には28本の永久歯が生え揃います。
つまり、6~12歳が生え変わりの時期だということです。
しかし低ホスファターゼ症の場合、4歳前に乳歯が抜けてしまい、正しい生え変わりができないことがあります。
歯の抜け方としては、通常であれば乳歯の根が吸収されて抜けるものが、根ごと抜けてしまうという特徴があります。
乳歯が早期に抜けてしまうと、永久歯の歯並びや噛み合わせに影響を及ぼします。
低ホスファターゼ症の根本的な治療は、体内で十分に産生されないアルカリホスファターゼを補う薬物療法です。
週3~6回の自己注射を行い、症状を抑えます。
2015年に日本で承認された低ホスファターゼ症治療薬は、すでに多くの罹患者に効果を示しています。
低ホスファターゼ症治療薬がなかった時代は根本的な治療も存在しませんでしたが、現在は薬の普及により、重症のケースにも十分な治療効果が現れます。
指定難病の一つである低ホスファターゼ症は、子どもの歯に悪影響を及ぼす疾患です。
また歯の異変だけでなく、骨の変形やけいれん、筋肉低下や体重増加不良といった症状が見られることもあります。
そのため、子どもの身体に上記のような異常がある場合、早急に検査を行うことをおすすめします。
検査では画像検査や血液検査、尿検査や遺伝子検査などが実施されます。